明哲めいてつ)” の例文
身を殺して仁を成すべきことを言いながら、その一方、どこかしら明哲めいてつ保身を最上智と考える傾向が、時々師の言説の中に感じられる。それがどうも気になるのだ。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
もうこの辺で名残なごりを惜しむ方が、明哲めいてつ気を保つ所以ゆえんだと気がつかなくてはならないはずです。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
貧乏な町人の娘が、金持の町人の妾になるのを、さして不道徳なことゝ思はないのが、この節の人の教養で、そんな事に干渉しないのを以て、明哲めいてつ保身の術としたのでせう。
古人は、明哲めいてつ身を保つということを教える。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)