抑揚アクセント)” の例文
しかしよく聞いてみると、だいたいの音の抑揚アクセント律動リズムが似ているだけで、母音も不完全であるし、子音はもとより到底ものになっていない。
疑問と空想 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
其の声音迄が明澄で、しかも喉音が多く、所謂「フォブリアン」の抑揚アクセントが窺はれる。隠れた愉快さがその目の中には笑つてゐて、其の薄い脣に迄みなぎつてゐる。
その忘却の心理には、きわめて精密な機構があって、同じ発音の言葉でも、抑揚アクセントが違う場合には、一時ことごとく記憶の圏外にげ出されてしまう。そうではないか。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そんな錯覚を起させる過度なものが、たしかに抑揚アクセントの中に含まれていた。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)