我善坊がぜんばう)” の例文
渠は芝の我善坊がぜんばうから、毎夜のやうに、電車もなかつた丸の内の寂しい道をてく/\歩いて、江戸川のほとりまでかよつた。
継承した東京市中各処の地名には少しく低い土地には千仭せんじんの幽谷を見るやうに地獄谷ぢごくだに(麹町にあり)千日谷せんにちだに(四谷鮫ヶ橋に在り)我善坊がぜんばうだに(麻布に在り)なぞいふ名がつけられ
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
丁度、その時、我善坊がぜんばうの方へいいハガキが屆いた。