懐郷病ホームシック)” の例文
これ等の事柄のすべてに牛の臭が加って、私を懐郷病ホームシックにして了った。ブルックス教授の家では、新鮮な牛乳を一クォート〔六合余〕御馳走になった。
「千村君の居る頃には、懐郷病ホームシックの話なぞもよく出ましたっけ。『お前が西洋へ行ったら、きっと懐郷病にかかる』と言われて来たなんて、そんな話も有りました」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その多くは最も上等であったが、それが如何によくっても、朝飯は我々を懐郷病ホームシックにする。で我々は、殆ど狂気に近い喜悦を以て、英国流の食事をたのしんだ。
そろそろ自分も懐郷病ホームシックかかったのか、それを考えた時は実に忌々いまいましかった。どうかすると彼は部屋の板敷の床の上へ自分の額を押宛おしあてて泣いても足りないほどの旅の苦痛を感じた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)