憂鬱症ゆううつしょう)” の例文
実際すみ子は国へ帰ってから一種の憂鬱症ゆううつしょうかかり、それの続きの様にして死病にとりつかれたのだ相ですから、田中の言う所も尤もではあるのです。
モノグラム (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
つまり、そのフィリップという男は、憂鬱症ゆううつしょうの気味のある、いわば独習哲学者で、みんなのことばをかりていうと、『本に読まれた』んだそうです。
ひよつとしたら一年前に亡くなつたといふ彼らの母は、ひどい憂鬱症ゆううつしょうにをかされてゐたのではないかと思ふが、とにかく七人の子供はこの激しいスパルタ式教育の下で、ひどくいぢけて醜くかつた。
母たち (新字旧仮名) / 神西清(著)