憂苦ゆうく)” の例文
放埓ほうらつの存分をやったあげく、藩の禁足を破って出奔した折に、母の梅颸が、身も痩せ、夜も眠られぬ憂苦ゆうくのうちに詠んだ歌で、それを茶山が記憶していたものである。
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時ふと胸にきたものは、あんなにうららかなおもばせで、れいれいとした声で話されるに、憂苦ゆうくといおうか、何かしら、話してしまいたいといったようなものを持っていられるということだった。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)