憂苦うきめ)” の例文
「こはておけぬ事どもかな、かれもし朱目が薬によりて、その痍全く愈えたらんには、再び怎麼なる憂苦うきめをや見ん。とかく彼奴きゃつを亡きものにせでは、まくらを高くねぶられじ」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
角に掛け牙に裂き、思ひのままに憂苦うきめを見せん。もしまたいはば一思ひに、息の根止めて楽に死なさん。とても逃れぬ命なれば、臨終いまわの爾が一言にて、地獄にも落ち極楽にも往かん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)