はや)” の例文
二人ははやる心を静めて、じっと寺の外に立っていた。その間に時は用捨なく移って、やがて夕暮の色と共に、棗の実をみ落すからすの声が、寂しく空に響くようになった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし恩地小左衛門は、山陰さんいんに名だたる剣客であった。それだけにまた彼の手足しゅそくとなる門弟の数も多かった。甚太夫はそこではやりながらも、兵衛が一人外出する機会を待たなければならなかった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)