心元こころもと)” の例文
この際ばかり特に執着のせつなる情を表わす理由は、全く死に伴うた厳重の方式があったためで、旅の別れの哀れな歌にも、かつはこの心元こころもとなさがまじっていたのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
小野さんははなはだ心元こころもとなく思った。半分ほどは今頼んだ事を取り返したく思った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ポッツリと見えて居る燈火をたよりに、心元こころもとなく歩いていた。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
兄さんは心元こころもとなさそうな返事をしました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)