御池殿おいけどの)” の例文
私邸に入らず、師直はすぐその身なりのままで、御池殿おいけどのの門に馬をつなぎ、尊氏に会って、以来の報告を先にしていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「たそがれ、はかまをはいた女官が、院の檜皮ひわだ屋根の上に見えたが、そのうちに御池殿おいけどの(尊氏の住居)のうちへ消えた」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尊氏は、なるべく、一切を弟にまかせようとして、彼の御池殿おいけどのへさしずを仰ぎにくる諸将にも、あらかたは
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
直義はまだ、けさから兄に会っていないのだが、その尊氏の御池殿おいけどのの方へも、もちろん、こう師直もろなおらが駈けつけて、事は、さっそく報告されているにちがいない。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さらには、御池殿おいけどのの御所や錦小路殿どのの内でも、奉行人たちへの慰労だの諸大名の招待が連夜のように催され、洛内の灯は、建武以来初めて、昔の都にもまさる夜景をちりばめだした。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)