“御噂（おうわさ）” の例文
そうして僕に、先ほど御着になった時は、ちょうど千代ちゃんとあなたの御噂（おうわさ）をしていたところでしたと云った。
彼岸過迄 (新字新仮名) ／ 夏目漱石(著)
御出しなすって、『母さん——母さん——』と呼んでいらッしゃいましたが、母さんの身に成ったらどんなで御座いましょう……そう申して、御噂（おうわさ）をしておりますんですよ
家：02 （下） (新字新仮名) ／ 島崎藤村(著)
「御噂（おうわさ）は予々（かねがね）大井さんから、何かと承わって居りました。やはり御創作をなさいますそうで。その内に面白い物が出来ましたら、『城』の方へ頂きますから、どうかいつでも御遠慮なく。」
路上 (新字新仮名) ／ 芥川竜之介(著)
「ちっとも御見えに成りませんね。岸本さんはどうなすったろうッて、御噂（おうわさ）してますよ」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) ／ 島崎藤村(著)
致しました。牧山様には始終御世話になると、宿（やど）で毎々御噂（おうわさ）を致しております
吾輩は猫である (新字新仮名) ／ 夏目漱石(著)