旧字:弓張提燈
よほど遠くから出て来るものと見え、いつでもわらじ脚半掛きゃはんが尻端折しりはしおりという出立いでたちで、帰りの夜道の用心と思われる弓張提灯ゆみはりちょうちんを腰低く前で結んだ真田さなだの三尺帯のしりッぺたに差していた。
伝通院 (新字新仮名) / 永井荷風(著)