ここは信州諏訪のこおり、神宮寺村に神寂かんさび立つ日本第一大軍神、建御名方命たけみなかたのみことまつった社、諏訪明神の境内けいだいで、秋とは云っても杉やひのき常磐木ときわぎの葉に蔽われて、昼なお暗い四方あたりの様子に旅人と見えて三
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)