小抽出こひきだし)” の例文
ふだん「能なし」とみくびっていただけに、それがあによめには反比例して強く感じられたらしい。がたがた震えながら、仏壇の蔭のほうへ手を入れかけ、ふとやめて、用箪笥ようだんす小抽出こひきだしをあけた。
七日七夜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「その、一番上の右の小抽出こひきだしあけて御覧、———」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
弥生は手にとって暫く見ていたが、やがてそれを箪笥の小抽出こひきだしの中へしまい、気ぬけのした人のようにそこへ坐って、ひとりしんと考えこんでしまった。そのときから弥生はものおもう日が多くなり。
日本婦道記:風鈴 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と、すぐ用箪笥ようだんす小抽出こひきだしから出して見せた。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)