子曰しのたまわ)” の例文
「ね、親分、そう聞くと思い当るでしょう。子供は嫌いだからといって、寺子てらこは皆んな断ってしまった癖に、夜は大の男を四五人も集めて“子曰しのたまわく”の素読の稽古けいこだ」
子曰しのたまわくや、こそはべれのうちに、こんな浮世絵草紙を見出したことがお角には、かえって味方を得たように頼もしがられて、皮肉な笑いを浮べながら、窓の光に近いところへ持ち出して
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
世間並のような顔をしていますが、からっきし訳の解らねえ人間で、——こんな野郎でも、“子曰しのたまわく”をちょっぴり教えて頂いたら少しは人間らしくなろうかと、こう思いましたんで、ヘエ——
どう致しまして、子曰しのたまわくは、これからはもう流行はやりませぬな、すべて理詰めで行って大いに利用厚生の道を講ずる、あっちの究理学でなければ夜も日も明けぬ時代が、やがて到来いたしますでな。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)