媢嫉ぼうしつ)” の例文
求めて得なければ天命に帰してしまい、求めてればすなわちその人を媢嫉ぼうしつする。そうでもしなければみずから慰める事が出来ない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
畢竟ひっきょう偏狭媢嫉ぼうしつは執着の半面であるとすれば、これは芸術と科学の愛がいかに人の心の奥底に深く食い入る性質のものであるかを示すかもしれない。
科学者と芸術家 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もう今日の洋画家中唯一の浅井ちゅう氏を除けばいずれも根性の卑劣な媢嫉ぼうしつの強い女のような奴ばかりで、浅井氏が今度洋行するとなると誰れもその後任を引受ける人がない。
根岸庵を訪う記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)