太夫こったい)” の例文
「今晩は内にいやはりますよってどうぞ来ておくれやす。太夫こったいがそういうてはります」という、いつにない女衆おなごしゅが気の軽い返事である。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
揚屋の送り迎えに八文字を踏んで祇園街を練り歩いていたそのころ廓の者が太夫を尊敬して呼び習わした通称を今でもなお口にして太夫こったいといっているのであった。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
そして幾度も案内をうと、やっと渋々出て来て、「太夫こったいどすか、今いやはりゃしまへん」
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)