大鋸おおのこ)” の例文
大鋸おおのこ町で夏火事にあい、両親と妹に焼け死なれた、おれ一人は白魚河岸しらうおがしへ釣りにいっていて助かったが、ほかに身寄りは一軒もなかった、おやじは伊勢から出て来たと云ってたが
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その賤しい一筋の思いが、彼をして行方ゆくえ定めぬ旅に立たせる。背の荷にしょい込んだ幾枚かの大鋸おおのこ小鋸と何十丁かのやすりが、彼の生命であり財産でもあった。拓けて行く蝦夷は彼らの餌食えじきであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)