大懸おおがか)” の例文
すくなくも、万全をそれに尽し切って出た姿である。彼が、滝川一益を踏みつぶしにかかるに、約一ヵ月のこの間の準備は、やや長すぎたし、また大懸おおがかりに過ぎるきらいがないでもなく見える。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういうおり夫の果しもない事業慾に——それもありふれた事をきらう大懸おおがかりの仕事に、何もかも投じてしまうくせのあるのを知って、せめて後顧こうこうれいのないようにと考えたのではなかろうか。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)