昔、人と水と戦って、この里の滅びようとした時、えつ大徳泰澄だいとくたいちょう行力ぎょうりきで、竜神をその夜叉ヶ池に封込ふうじこんだ。竜神の言うには、人のおぼれ、地の沈むを救うために、自由を奪わるるは、是非に及ばん。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)