塋域えいゐき)” の例文
墓は門を入つて右に折れて往く塋域えいゐきにある。上に佛像を安置した墓の隣に、屋盖形やねがたのある石が二基並んで、南に面して立つてゐる。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
日本でも時〻飛んでもないことをする者があつて、先年西の方の某国で或る貴い塋域えいゐきを犯した事件といふのが伝へられた。
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それは板塀を囲らした広い塋域えいゐきであつて、元禄時代からの先祖の墓が並んでゐた。
椿子物語 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
長崎にある津田繁二さんは徳見氏の塋域えいゐき二箇所を歴訪したが、名字号等をらず、皆単に宗淳、伝助等の称を彫つてあるので、これを詳にすることが出来なかつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)