たかし)” の例文
新字:
たかしは金魚の仔でもつまむようにしてそれを土管の口へ持って行くのである。彼は血の痰を見てももうなんの刺戟しげきでもなくなっていた。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
賑かなM町通りを通っていると、ふと私はたかしに玩具を買って行ってやろうかと思った。玩具屋の店先には種々なものがごたごた並べてあった。私はその方にちらりと目をやって頭を振った。
生と死との記録 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
たかしはなにか露悪的な気持にじりじり迫られるのを感じながら、嫌悪に堪えたその犬の身体つきを終わるまで見ていた。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
たかしの弟は脊椎せきついカリエスで死んだ。そして妹の延子も腰椎ようついカリエスで、意志をうしなった風景のなかを死んでいった。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)