土竈へつつひ)” の例文
その後ろ姿を見送つて平次は、眼配せして八五郎を廊下に立たせ、恐れをのゝく、若い下女のお組と、土竈へつつひの側に相對しました。
土間の向ふ隅には大きな土竈へつつひが見え、つい入口近くには土だらけの腐つたやうな草履が二足ばかり、古い下駄が二三足
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「それは考へられない事はないが、後ろから突くのはあんまり卑怯ひけふだ。それに、自分の持つて居た人相書を土竈へつつひの穴へ入れるのは變ぢやないか」
「だから隱すなと言つてるぢやないか、——その時江戸へ持つて來た大事な書き物があつた筈だ。それをこの土竈へつつひに隱してから、何年になるんだ」
土竈へつつひの陰に恐れ入つてゐるのは、三十を少し越したらしい女、ひどい痘痕あばたで、眼も片方はどうかしてゐる樣子です。
それに槓杆てこの枕を捨てたのは宜いが、土竈へつつひを据ゑた場所が少し動いて居ることに氣が付かなかつた