嘔吐はい)” の例文
「それが、……赤斑あかふもあれば、死顔は痴呆こけのよう。下痢くだしたものは、米磨汁とぎじるのようで、嘔吐はいたものは茶色をしております。どう見たって、虎列剌に違いねえので……」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
いったんは、虎列剌ころりかとも思いましたが、嘔吐はいたものは虎列剌とはまったくちがう。胸や背に赤斑こそありますが、虎列剌の特徴になっておる形容の枯槁ここうもなければ痴呆面こけづらもしていない。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)