あツ)” の例文
あツと思ツて肇さんは目を見張ツた。碎けた浪の白漚しらあわは、銀の齒車を卷いて、見るまに馬の脚を噛み、車輪の半分まで沒した。小さいノアの方舟はこぶねが三つ出來る。浪が退いた。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)