卜幽軒ぼくゆうけん)” の例文
ふつうの武家の書院とちがい、そこにも次のへやにも、書物がたくさんあった。春蘭しゅんらんの鉢、陶器、文房具など、明国物みんこくもののにおいが濃い。故人卜幽軒ぼくゆうけんの学風や趣味によるものであろう。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
卜幽軒ぼくゆうけんあるじは、その魚のけむりに閉口したものの如く、書斎の障子をひらいて、例の、棒の如き一身を、黙然と、暮るるにまかせて独座していたが、ふと、奥へ向って、なおこういった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亡父ちち卜幽軒ぼくゆうけんに似て体つきもかおかたちも恰好のよくない青年だ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)