法然上人は美作みまさかの国、久米くめ南条稲岡庄なんじょういなおかのしょうの人である。父は久米の押領使おうりょうしうるま時国ときくに、母は秦氏はたしである。子の無いことを歎いて夫婦が心を一つにして仏神に祈りをした。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)