動作しぐさ)” の例文
わが伯龍の、無言の動作しぐさは、云はぬは云ふにいやまさる、かうした人情本の仇夢を、いとなまめかしく私たちに覗かせて呉れた。
吉原百人斬り (新字旧仮名) / 正岡容(著)
「むこうの辻のお地蔵さん」で、お美夜ちゃんは首をかしげて、かあいいしなをしながら、左の手で右のたもとをだき、右の人さし指でむこうを指さす動作しぐさをする。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
……その中将の微妙な心理的の動作しぐさは屏風にへだてられて居るからわたしからは見えやうがない。
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)
同時に、自分の馬鹿な動作しぐさに気がついた。良子はわけが分らずあつけにとられてゐた。そして「へんな人ね。」と云つた。俊一は絶体絶命であつた。どうにも言訳の口実が見つからなかつたのである。
四人 (新字旧仮名) / 芥川多加志(著)
弥五七 昨日ちょっとある所で、聞いた噂じゃが、藤十郎どのは、今度の狂言の工夫に悩んだ揚げ句、ある茶屋の女房に恋をしかけ、密夫みそかおの心持や、動作しぐさの形を付けたということじゃが、真実ほんとうかのう。
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)