そのころになると、二人ふたりはあちこちと見て回った町々の知識から、八百八町はっぴゃくやちょうから成るというこの大きな都会の広がりをいくらかうかがい知ることができた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
江戸八百八町はっぴゃくやちょうを支配するようにそびえ立っていた幕府大城はその時に最後の幕を閉じたともある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
朝日夕日に輝いて八百八町はっぴゃくやちょうを支配するようにそびえ立っていたあの建築物も、周囲に松の緑の配置してあった高い白壁も、特色のあった窓々も、幕府大城の壮観はとうとうその美を失ってしまった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)