全身からだじゅう)” の例文
しなやかではあるがあらい手で私の全身からだじゅうさすっている。その快い触覚が疲労と苦痛とで麻痺している私の肉体からだいたわってくれる。私の意識は次第次第に恢復するように思われた。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
全身からだじゅうがその熱でもえ、それがこの人たちを駆って、とんでもない熱狂的なことをさせたり、狂気の沙汰とも云うべき献身的なことをやらせたり、果ては犯罪をさえ犯させるのでした。
寡婦 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)