しばらく語を交えている間に、主人は次第に饒舌じょうぜつになって、光燄万丈こうえんばんじょう当るべからざるに至った。宗右衛門は好んで故事を引く。偽書ぎしょ孔叢子こうそうし』の孔氏三世妻をいだしたという説が出る。祭仲さいちゅうむすめ雍姫ようきが出る。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)