先殿様せんとのさま)” の例文
お絹の仕えた神尾の先殿様せんとのさまの墓はこの浜松の西来院さいらいいんにあって、そうしてこの浜松の城下はお絹の故郷でありました。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……この豊前へ来て、一時は、馬の草鞋わらじなど作って、露命をつないでいたものじゃが、その後、倖せあって、当細川家の先殿様せんとのさま、三斎公のお見出しに預り、今では当藩にみな御奉公いたしておる身じゃ
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この切髪の婦人というのは先殿様せんとのさまめかけであったので、殿様がくなって殊勝しゅしょうらしく髪を切って、仮りに花の師匠となり、弟子というものもさっぱりないけれども