伽羅枕きやらまくら)” の例文
『読売新聞』で、露伴の『ひげ男』と紅葉の『伽羅枕きやらまくら』とを同時に掲載する計画を立てたのは、あれは確か二十三年の春頃だつたと思ふ。
紅葉山人訪問記 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
紅葉は当今の欧化主義にさからつて起りし文人なり。純粋の日本思想を以て文壇に重きを持する者なり。われ之を彼が従来の著書に徴して知り、而して「伽羅枕きやらまくら」に対して初めて其説を堅うするを得たり。
『焼継茶碗』だの、『心の闇』だのは、『伽羅枕きやらまくら』だとか、『紅白毒饅頭』だとかいふ模倣臭、俗気臭のある作品に比べては、余程構造に於て、命意に於て、純な処がある。
尾崎紅葉とその作品 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)