交叉路こうさろ)” の例文
そして電車はいくら待ってもどちらからも来なかった。圧しつけるような暗い建築の陰影、裸の並樹、まばらな街燈の透視図。——その遠くの交叉路こうさろには時どき過ぎる水族館のような電車。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
そのうちに筋違御門すじかいごもんの前まで来た。そこはまた交叉路こうさろでまた人通りが混んでいる。編笠の侍は、目の前を突ッ切る四ツ手駕をやり過ごして、ついと、燕のように、向う側へ駈け出した。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)