乱杙歯らんぐいば)” の例文
なぞと挨拶にでも云う者が居るとオナリ婆さんは、きまり切って乱杙歯らんぐいば剥出むきだしてイヤな笑い方をした。片足を敷居の外に出しながら、すこし勢込んで振返った。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と見たとき、きたない乱杙歯らんぐいばをむき出して
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
その幸福を攪乱かきみだし、冷笑し、罵倒し、その幻想の全体を極めて不愉快な、索然たるものにしてしまうのはマユミの父親の頑固な恰好をした禿頭とくとうと、母親のおおかみみたような乱杙歯らんぐいばの笑い顔であった。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)