主人たく)” の例文
若い内は變つた土地に住んで見るのも、一生のいゝ經驗だと、主人たくが力をつけて呉れますし、あたしもさう思つてゐますのよ。
見学 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
あたくしは毎朝、夜が白みだすと起き出して、それから冷たい水で顔を洗って、主人たくのニコヂームに寝ぼけ顔を見せないように致しますの。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ある日公使が主人たくに向って、公使館のうちは野郎ばかりなので、勝田君には刺戟が強過ぎるんだ。
消えた霊媒女 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
主人たくが何か云ったかい」
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「女のくせに生意氣だ」つて、主人たくも時々小言を申しますのですけど、こればかりは止められませんの。母の眞似をしたのが癖になつちまつて。
見学 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
「そうそう、お店へいらしたらね、二三日うちに主人たくが、あの三百……だったかしら、とにかくお払いに上がりますからって、そうおっしゃって頂戴ね。」
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
……ぢや、お價値ねだんもお高う御座いませうね。……あたくし、大阪へ歸つたら、主人たくに話して、早速買つて來させますわ。……側へ寄つて見ると、模樣が綺麗ですこと。
見学 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
……あたくしも主人たくのニコヂームもお二人がそりゃ大好きでしたのよ。それに免じて、お二人の正式な清らかな御縁組みを祝福させて下さいましな。式はいつお挙げになるおつもり?
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)