不立文字ふりゅうもんじ)” の例文
禅は「不立文字ふりゅうもんじ」と申しますが、文字で分る区域など知れたものでありましょう。信仰をそんな知解にとどめてはならぬと予々かねがね宗門は教えているのではありませんか。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
けだし、仏教のうちに、禅宗のごとき、不立文字ふりゅうもんじの宗を立つるに至りしゆえんは、畢竟ひっきょう、世の宗教者の感情上より文字を偏信するの弊を救わんとして出でたるものなること疑いなし。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
不立文字ふりゅうもんじにて、生死を超越する境地は、剣も、禅も同じと致しまして、昨夜の、馬鹿と申された一喝、その気合の鋭さは、剣客の気合とても遠く及ばぬ気魄が、迸っておりまして、某の腹の中へも
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)