下宿パンシオン)” の例文
モスクヷを出発して来てから十日ばかりたって、伸子ももうウィーンでは下宿パンシオンの食事に出るパンの白さに目を見はらなくなった。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
この驚くべき知らせを持って下宿パンシオンへ戻ってきて彼女がやっぱりまだ家へ帰ってきていないことがわかったときに
一昨日この下宿パンシオンのあるデエーツコエ・セローの公園のずっと先の広い野原で夏雲を眺めながら摘んで来た花であった。
おもかげ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
黒川は、二週間近くウィーンに滞在する伸子と素子とのために、下宿パンシオンをさがすことをすすめ、その仕事をひきうけた。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
レーニングラードの郊外の「子供の村」という元ツァーの離宮だった町に、プーシュキンが学んだ貴族学校長の家が、下宿パンシオンになっていた。そこで書いた。
伸子と素子とは、黒川隆三が世話してくれた下宿パンシオンの三階の陽あたりのいい窓の前におかれたテーブルのところで、ゆっくりそういう新聞紙に目をとおした。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
十数人の男女があごをそろえて見上げたその水色石造建築物の外観は極めて平凡で、歩道に向った下の窓の奥に「下宿パンシオン・レオノヴォイ」という札が出してあった。
赤い貨車 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)