一齣ひとくさり)” の例文
大村の話は私よりもっと興味が深かろうと思いましたから、帰りは静岡へ寄って老父や老母相手に一齣ひとくさり大村の懐旧談に花を咲かせました。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
但し、以下の一齣ひとくさりは、かつて、一樹、幹次郎が話したのを、ほとんどそのままである。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから、そちらの大人のご希望もあったことだから、未熟な節廻ふしまわしではあるが、一齣ひとくさりご披露しよう、といって、くり返し巻き返し同じような唄を歌い、蹣跚まんさくたる足どりで帰っていった。
小さな冊子を膝にひろげて、投扇の起源という一齣ひとくさりまで読んで聞かせました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)