一洗滌ひとあらい)” の例文
浪は水晶の柱のごとく、さかしまにほとばしって、今つッ立った廉平の頭上を飛んで、空ざまにずること十丈、親仁の手許の磨ぎ汁を一洗滌ひとあらい、白き牡丹ぼたんの散るごとく、巌角いわかどに飜って、海面うなづらへざっと引く。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)