一回ひとまわり)” の例文
御米は家中を一回ひとまわり回ったあと、すべてに異状のない事を確かめた上、また床の中へ戻った。そうしてようやく眼を眠った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先刻さっき表へ出て、あの花を買って来ました」と代助は自分の周囲を顧みた。三千代の眼は代助にいて室の中を一回ひとまわりした。その後で三千代は鼻から強く息を吸い込んだ。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
朗かに風の往来を渡る午後であった。新橋の勧工場かんこうば一回ひとまわりして、広い通りをぶらぶらと京橋の方へ下った。その時代助の眼には、向う側の家が、芝居の書割の様に平たく見えた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)