“むつつりや”の漢字の書き方と例文
語句割合
沈黙家100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かういつて、髪の毛が長く額に垂れかゝつたのをうるささうにかき上げながら、顔をもち上げたのは、仲間で一番年若で、おまけに沈黙家むつつりやで評判の高いOといふ画家だつた。
伊勢は寂照寺の画僧月僊げつせんは乞食月僊と言はれて、幾万といふ潤筆料をめ込んだ坊さんだが、その弟子に谷口月窓といふ男がゐて、沈黙家むつつりやで石のやうに手堅いうまれつきであつた。
饒舌家おしやべりの小鳥も、沈黙家むつつりやの獣も、さすらひ人の蝸牛も、地下労働者のもぐらもちも、みんな魔術にでもかかつたやうに、いい気持になつて夢を見てゐるなかに、この桜の花のみは
桜の花 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)