“ひえがゆ”の漢字の書き方と例文
語句割合
稗粥100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「——焚火たきびをたいているらしい。夜露にぬれたたもとをすこし乾かしてもらおう。ああ、腹もすいた。稗粥ひえがゆなとあらば無心して」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただの百姓家か木樵きこりの小屋でもあれば、暫時ざんじの休息も頼めるし、稗粥ひえがゆの無心ぐらいはきいてもくれるであろうが、旅人を相手に商売している茶店では、一ぱいの茶も
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おらが子どもの時分は、餅はおろか、稗粥ひえがゆも見られねえ正月が、何年もあったもんだが……」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こいつら、あきらめのわるいやつらだ、稗粥ひえがゆをすすって、痩せ土を耕しながら、骨と皮ばかりになっているより、おれ達と暮してみろ、世の中が面白くて堪らなくなるから」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつものことながら、弥右衛門は貧しい稗粥ひえがゆなべを見るたびに、さびしい顔になった。妻にも子にも、満たしてやり得ない自責を——男親として、人知れず苦しむらしかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)