“かみだこ”の漢字の書き方と例文
語句割合
紙凧100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
龍という緑の文字が書かれてある紙凧かみだこがひっそりあがっている。あの紙凧から垂れさがっている長い尾を見るとよい。
彼は昔の彼ならず (新字新仮名) / 太宰治(著)
恰幅かっぷくのよい長身に両手をだらりと垂らし、投出して行くような足取りで、一つところを何度も廻り返す。そうかと思うと、紙凧かみだこの糸のようにすっとのして行って、思いがけないような遠い売場にたたずむ。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そんな場合になってしまうと、私は糸の切れた紙凧かみだこのようにふわふわ生家へ吹きもどされる。普段着のまま帽子もかぶらず東京から二百里はなれた生家の玄関へ懐手ふところでして静かにはいるのである。
玩具 (新字新仮名) / 太宰治(著)
あの紙凧かみだこのあがっている空地だ。横縞よこじまのどてらを着て、ゆっくりゆっくり歩いている。なぜ、君はそうとめどもなく笑うのだ。そうかい。似ているというのか。——よし。それなら君に聞こうよ。
彼は昔の彼ならず (新字新仮名) / 太宰治(著)