“いくもん”の漢字の書き方と例文
語句割合
幾文100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
江戸演劇は既に通俗なる平民芸術にはあらで貴重なる骨董こっとうとなりし事あたかも丹絵売たんえうりが一枚幾文いくもんにて街頭にひさぎたる浮世絵の今や数百金にあたいすると異なる事なし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そうして裸になってお辞儀をしたあとは、確かに幾文いくもんか残ったが、彼はもう帽子を請け出そうとも思わず、あるだけのものは皆酒にして思い切りよく飲んでしまった。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
僅か幾文いくもんの銭がありさえすれば、自分たちはこの虐待と飢餓から救われることだ——銭があればいいなあ、と米友は、夜の寒空に軒端の縁に腰かけて尾上山おべやまつづきの星を数え
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)