……去年の春だつた。七郎は一時逆車輪を過つて機械体操からすべり落ち、気を失つた。 ふと吾に返ると沢田が汗みづくになつて自分を背負つてゆく。紅く上気した沢田の頬に桜の花が影を落してゐた。——その儘又沢田の背中で気が遠くなつて、病院の一室に、心 …
著者 | 牧野信一 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「少年 第一九四号(月世界探検号 十月号)」時事新報社、1919(大正8)年9月8日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約6分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約9分(300文字/分) |