急行列車が駅にとまると、二人か三人の私服刑事らしき人物が車内の人物の面相を読みつつ窓の外を通りすぎる。私の終戦後の遠距離旅行はこの正月からのことであるから、こういう人物の駅々の影のような出迎えがいつごろから始まったのか知らないが、月を追うて …
著者 | 坂口安吾 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行 |
初出 | 「文藝春秋 第二九巻第一一号」1951(昭和26)年8月1日 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約44分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間13分(300文字/分) |
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