-
トップ
>
-
諸磯
>
-
もろいそ
幾月かを
過す
中に、
敵の
監視もだんだん
薄らぎましたので、
私は
三崎の
港から
遠くもない、
諸磯と
申す
漁村の
方に
出てまいりましたが
油壺から
諸磯見ればまんまろな赤い夕日がいま落つるとこ
落城後私があの
諸磯の
海辺に
佗住居をして
居た
時分などは、
何度も
何度も
訪れて
来て、
何かと
私に
力をつけてくれました。
秋が来たぞよ、
三崎諸磯の
段々畑から
百舌が出たで
すると、その
頃、
諸磯の、
或る
漁師の
妻で、
平常から
私の
事を
大へんに
尊信してくれている
一人の
婦人がありました。