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縹
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はなだ
ふりがな文庫
“
縹
(
はなだ
)” の例文
旅の若い
女性
(
によしやう
)
は、型摺りの美しい模様をおいた麻衣を著て居る。笠は浅い
縁
(
へり
)
に、深い
縹
(
はなだ
)
色の布が、うなじを隠すほどにさがつてゐる。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
空は
縹
(
はなだ
)
が淡く透きとおって、底からだんだんと黄味を潮し、赤石はわずかに峯角に際立った残照をとどめて、しらじらと蒼ざめる。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
クリッとした利巧そうな目で小圓太の次郎吉は、
縹
(
はなだ
)
いろに暮れようとしている十一月の夕空の一角を悲し気に見つめていた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
夫
(
をつと
)
はわたしを
蔑
(
さげす
)
んだ
儘
(
まま
)
、「
殺
(
ころ
)
せ」と
一言
(
ひとこと
)
云
(
い
)
つたのです。わたしは
殆
(
ほとんど
)
、
夢
(
ゆめ
)
うつつの
内
(
うち
)
に、
夫
(
をつと
)
の
縹
(
はなだ
)
の
水干
(
すゐかん
)
の
胸
(
むね
)
へ、ずぶりと
小刀
(
さすが
)
を
刺
(
さ
)
し
通
(
とほ
)
しました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼の烏帽子には縁もなく矢車の
緌
(
おいかけ
)
も着いてはいず、彼は粗末な布地退紅の狩衣に
縹
(
はなだ
)
色の短い
袴
(
はかま
)
をはき、ただ鮫皮を張った柄に毛抜の飾りのついた
蒔絵
(
まきえ
)
づくりの太刀
菊
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
▼ もっと見る
新調したらしい
縹
(
はなだ
)
の背広を着ているが、着なれないとみえて、どこかに借りもののようなところがある。金時計の金鎖をチョッキにのぞかせ、眼鏡も金縁、ステッキの握りも金。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
中絶えばかごとや負ふと危ふさに
縹
(
はなだ
)
の帯はとりてだに見ず
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
雲ははやおとろへ散じ
縹
(
はなだ
)
の色もあせんとす
故郷の花
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
纖雲
(
ほそぐも
)
縹
(
はなだ
)
に長くながれ
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しばしは雲の
縹
(
はなだ
)
と
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夫はわたしを蔑んだまま、「殺せ。」と
一言
(
ひとこと
)
云ったのです。わたしはほとんど、夢うつつの内に、夫の
縹
(
はなだ
)
の水干の胸へ、ずぶりと
小刀
(
さすが
)
を刺し通しました。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仰ぐともう空は
縹
(
はなだ
)
いろに暮れようとしていた。どこからか秋刀魚焼く匂いが人恋しく流れてきていた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
さらにまた、底しれぬ絶谷の吐く息が、むらむらと湧き昇る時には、山は一歩退いて、
縹
(
はなだ
)
いろの冷漿を浴びたごとくに陰り、しかも時おり、露を結んだ錬鉄の閃めきを射出す。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
一人は濃い
縹
(
はなだ
)
の
狩衣
(
かりぎぬ
)
に同じ色の袴をして、
打出
(
うちで
)
の太刀を
佩
(
は
)
いた「鬚黒く
鬢
(
びん
)
ぐきよき」男である。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
死骸は
縹
(
はなだ
)
の
水干
(
すいかん
)
に、
都風
(
みやこふう
)
のさび烏帽子をかぶったまま、
仰向
(
あおむ
)
けに倒れて居りました。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
死骸
(
しがい
)
は
縹
(
はなだ
)
の
水干
(
すゐかん
)
に、
都風
(
みやこふう
)
のさび
烏帽子
(
ゑばうし
)
をかぶつた
儘
(
まま
)
、
仰向
(
あをむ
)
けに
倒
(
たふ
)
れて
居
(
を
)
りました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“縹”の解説
縹(はなだ)もしくは縹色(花田色、はなだいろ)とは、明度が高い薄青色のこと。後漢時代の辞典によると「縹」は「漂」(薄青色)と同義であるとある。花色、月草色、千草色、露草色などの別名があり、これら全てがツユクサを表している(ただし千草色(千種色)という別の色も存在する)。とくに露草色(月草色、千草色)および花色については後述する。
(出典:Wikipedia)
縹
漢検1級
部首:⽷
17画
“縹”を含む語句
縹緻
縹渺
縹色
縹致
不縹緻
縹緲
御縹緻
縹茫
神韻縹渺
不縹緻者
縹眇
縹渺有趣
雲煙縹渺
虚有縹緲
縹雲
縹色繻子
縹色絹
不緻縹
縹緻美
縹緻佳
...