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知己
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しりあい
ふりがな文庫
“
知己
(
しりあい
)” の例文
主人の喜兵衛はそればかり心配して、親類や
知己
(
しりあい
)
に頼んで、縁談の雨を降らせましたが、新助はそれに耳を傾けようともしません。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日本橋久松町に住む近親をたよってゆくと、その人が
知己
(
しりあい
)
を招いてお園の浄るりを聞かせた。それが東京での封切りであった。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
十余人の者は
某
(
ある
)
足軽の家に集まったが、そこには盗賊の入った形跡はなかった。小柄なそこの
妻女
(
さいじょ
)
は玄関の口に立って
知己
(
しりあい
)
の人と話していた。
女賊記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
我輩は
好奇
(
ものずき
)
の人間なので、こういう蔦吉といったような、やくざな芸人には
知己
(
しりあい
)
があり、手なずけることも出来たのさ。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
恰度
知己
(
しりあい
)
の貧しい学校の先生の家で、七人目の赤ん坊が生まれて、育てかねていたのを貰って養うことにしたのです。
或る母の話
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
▼ もっと見る
、こちらで存じておりますような訳には参りますまいけれども、あのう、私は篠田
様
(
さん
)
と云う、貴方の
御所
(
おところ
)
の方に、少し
知己
(
しりあい
)
があるのでございまして。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たゞ
一寸
(
ちょっと
)
した
知己
(
しりあい
)
の死を、死んでは少し
淋
(
さび
)
しいが、
然
(
しか
)
し大したことのない知己の死を、話しているのに過ぎなかった。信一郎は、可なり拍子抜けがした。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
坂本町に住む伯母の
知己
(
しりあい
)
の世話で私が目黒の駅に務めることになったのは、去年の夏の暮であった。私はもう食を得ることよりほかにさしあたりの
目的
(
あて
)
はない。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
半七はそれから小梅の
知己
(
しりあい
)
をたずねて、夕七ツ(午後四時)を過ぎた頃に再び庄太の家をたずねると、となりの葬式の時刻はもう近づいて露路のなかは混雑していた。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
十六歳からの
知己
(
しりあい
)
なので、
豊後
(
ぶんご
)
の片田舎に郷士の子としていた自分の才を認めて、その頃姫路城にいた羽柴秀吉に話し、初めて、秀吉という人物と自分との機縁を結んでくれたのも実に
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人はいずれも小田夫婦とは二、三年前からの
知己
(
しりあい
)
でありまして、一人は
友田剛
(
ともだごう
)
というK大学生、年は二十五歳、他の一人は
大寺一郎
(
おおでらいちろう
)
という某大学の学生で、此の人は当時二十四歳であったのです。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
「俺は部屋住みで自由の身分だ。それに天下に
知己
(
しりあい
)
がある。どこの何者を訪ねようと、少しも不思議はないではないか」
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
翌晩になって彼女は雑誌記者だと云う三人
伴
(
づれ
)
の客の席へ呼ばれた。その時同じように呼ばれて来ていた
知己
(
しりあい
)
の女から
料理番と婢の姿
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
自分の家に出入りしている以上、会う機会、
知己
(
しりあい
)
になる機会が、
幾何
(
いくら
)
でも得られると思うと、彼女の小さい胸は、歓喜のために
烈
(
はげ
)
しく波立って行くのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私も品川に子供をさらわれた
知己
(
しりあい
)
を持っておりますが、
日頃
(
ふだん
)
はろくに見てもやらなかった子供でも、悪者にさらわれたとなると、まるで気狂いのようになって
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何も三年越見なかった人なり、殊にそういう
知己
(
しりあい
)
の婆さんが在って見れば、これをつてで、また
余所
(
よそ
)
ながら尋ねられないこともないが、何となく、急に見たい。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その親しげなものの言い振りで私ははじめて、二人が
知己
(
しりあい
)
であるということを知った。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
この江戸へ来てから
知己
(
しりあい
)
になった浪人仲間の友達が三、四人打ち連れて来て
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は岩本の
後
(
うしろ
)
から
怖
(
こわ
)
ごわ入って、四五人いる給仕女の顔を一わたり見廻したが、
平生
(
いつも
)
のとおりの
知己
(
しりあい
)
の女ばかりで、べつに怪しい顔は見えなかった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼奴
(
あいつ
)
は有名な悪党なんですよ。ええ、あの一座の親方って奴はね。ちょっと私とも
知己
(
しりあい
)
なんで。
釜無
(
かまなし
)
の
文
(
ぶん
)
というんでさ。……ああ本当に飛んだことをした。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
社長の曽我とも
知己
(
しりあい
)
の
間
(
なか
)
でこの間の
失敗
(
しくじり
)
を根に持ってよほど卑怯な申立てをしたものと見えて、始めは大分事が大げさであったのを、幸いに足立駅長が非常に人望家であったために
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
僕の父なんかも、
何時
(
いつ
)
の間にか、あんな連中と
知己
(
しりあい
)
になっているのですよ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「小田巻直次郎、これでも武士だ。辻斬や
剽盗
(
おいはぎ
)
に朋友も
知己
(
しりあい
)
もない、——さア、踏込んで見ぬか。怪しい者は居ない代り、金はうんとあるぞ。小判というものを堪能するほど拝ましてやる。それ」
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その生れた子供は毎日のように
婢
(
じょちゅう
)
の手に抱かれて、
正午比
(
ひるごろ
)
と夕方家の前へ出ていた。子供はひいひい泣いている時があった。通りかかった
知己
(
しりあい
)
の者が
訊
(
き
)
くと
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
遁れて
知己
(
しりあい
)
の農家に隠匿い、今日まで二人で
生活
(
くらし
)
て来る間、彼は今更に澄江という女が、女らしい優しい性質の中に、毅然として動かぬ女丈夫の気節を、堅く蔵していることを知り
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そのお坊さんの中には、いろんなお坊さんがありますから、うっかりお坊さんと
知己
(
しりあい
)
になってはいけませんが、あのお坊さんなら大丈夫でございましょう」
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
妾
(
わたし
)
の
知己
(
しりあい
)
でございます。もしや死んだのではございますまいか?」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
宮地翁はこんなことを云って
知己
(
しりあい
)
の人に話して笑った。河野には
細君
(
さいくん
)
があった。お
米
(
よね
)
と云う女の子もあった。細君には同藩の木村
知義
(
ともよし
)
と云う人の妹であった。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
知己
(
しりあい
)
の土方が居る
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
登はふとこの家は茶店を
止
(
や
)
めてても、酒ぐらいは置いてあって、
知己
(
しりあい
)
の書生などには酒を飲ましているらしいなと思った。彼はすぐ
己
(
じぶん
)
の
懐
(
ふところ
)
のことを考えてみた。
雑木林の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
家を逃げだして東京へ出てから一二軒
婢
(
じょちゅう
)
奉公をしているうちにある私立学校の教師をしている女と
知己
(
しりあい
)
になって、最近それの世話で某富豪の小間使に往って見ると
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
己
(
じぶん
)
は今度の高等文官試験の本準備にかかる
前
(
まえ
)
に五六日海岸の空気を吸うてみるためであったが、一口に云えば
壮
(
わか
)
い男が海岸へ遊びに往っていて、偶然に壮い女と
知己
(
しりあい
)
になり
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「なにを申す、めったなことを申してはならんぞ、この女と児は、その方の
知己
(
しりあい
)
か」
竇氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「今に判りますよ、判らなくたって、これからお
知己
(
しりあい
)
になりゃ、いいでしょう」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これという
知己
(
しりあい
)
の者がなくて困っております、ただ私の家にもと使っていた
金栄
(
きんえい
)
という男が、鎮江で百姓をしているということを父から聞いてますが、それは義理がたい男だそうですから
金鳳釵記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それは
張河公
(
ちょうかこう
)
と云う
知己
(
しりあい
)
の老人であった。許宣はうれしくてたまらなかった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私の
知己
(
しりあい
)
の男が上京した時の話に、友人と彼の女との関係が判って来て、友人の細君は細君で、
狂人
(
きちがい
)
のようになって騒ぎだすし、女の親類もやかましく云いだしたので、友人はしかたなしに
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
汽船会社の先輩の世話で
上海
(
シャンハイ
)
航路の汽船の事務員になって、上海へ往く途中で病気になり、その汽船会社と関係のある上海の病院に入院中、福岡県出身の男と
知己
(
しりあい
)
になって、いっしょに
広東
(
カントン
)
へ往き
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
面倒な事情が
絡
(
から
)
まって来たりなんかして、それがために別れてしまって、女は故郷のほうへ帰れないと云うところから、
何人
(
だれ
)
か
知己
(
しりあい
)
の者を頼って東京へ来ているのか、もうとうに他に夫が出来ていて
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
河野が死んでから
二十日
(
はつか
)
ばかりしてのことであった。何かの用事で東京から大阪へ往っていた宮地翁は、中の島の
知己
(
しりあい
)
の家で河野の
寄寓
(
きぐう
)
していた粕谷治助に逢って、河野の
歿
(
な
)
くなった話を聞かされた。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
“知己”の意味
《名詞》
知己(ちき)
自分のことをよく理解してくれる人。
知人。知り合い。
(出典:Wiktionary)
知
常用漢字
小2
部首:⽮
8画
己
常用漢字
小6
部首:⼰
3画
“知己”で始まる語句
知己人
知己料
知己等
知己朋友